スタジオ訪問 | イェンユウ

スタジオ訪問 | イェンユウ

岐阜県多治見市で制作されているイェンユウさん。彼女が使われているシェアアトリエ(通称司ラボ)を訪問しました。作品の裏側を覗いてみましょう。

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あっという間に大きなお皿を作って見せてくれた。ろくろで形が出来上がる工程を見るのはとても楽しい。

ーーインスピレーションの源を教えてください。

雨空、山霧、岩、苔などの大自然です。最近行って印象的だった場所は、宮崎県の高千穂町にある天岩戸神社。神社の近くの渓谷沿いには奇岩が多く、奥には無数の石が積まれている天安河原があるんですよ。あとは福井県の平泉寺白山神社。境内に生える苔が忘れられないほど神秘的でした。

Photo credit 2023, Yenyu

故郷である台湾に滞在しているときは、台北市の北側にある北海岸によく行きます。海岸沿いの岩がとても美しいんですよ。あと、台湾は天気の変化がとても激しいので、雲や靄の変化する様子を観察しています。

ろくろの他にも、たたら成形で薄く伸ばした土を石膏型に押し当てることでお皿の形を作っている。お皿には黒土を使うことが好きだそう。色の濃い土を使うことで奥行きを感じる仕上がりになる。

ユニークな奥行きのある釉薬の表情は、異なる種類の釉薬を2回釉かけることで生まれる。
年季の入った建物ならではの無骨でかっこいいアトリエ。エアコンがない古い建物のため、夏は暑く冬は寒い過酷な環境。

ーー制作の中で一番好きな工程、瞬間がありましたら教えてください。

削りの工程です。気持ちが良いですし、望む形になっていく様子が好きです。あと、削りの作業は手があまりドロドロにならないので。固すぎても柔らかすぎてもダメで、ちょうど良い乾き具合を見極めて一気に削ります。

アトリエからイェンユウさんが在籍している多治見市陶磁器意匠研究所に移動して、釉薬の作業場を見せてもらった。研究所では作品に使う釉薬の研究もされている。

ーーこれから作ってみたいもの、使ってみたい技法などありましたら教えてください。

色々な形の花器を作ってみたいです。大きくても一人では抱えられるくらいのサイズで。あとは引き続き焼成方法も研究していきたいです。今はほとんど還元焼成で焼いていますが、土ごとに適した焼成方法もトライしていきたいです。 日本の土や原料は本当に種類が多くていつも魅了されます。

訪問した日に研究所ではグループ展が開催されており、イェンユウさんの作品も展示されていた。直径30cmくらいの大きさでありながらも、重力を感じさせないふんわりと舞うような佇まいが美しい...!


Profile photo credit 2023, Yenyu

イェンユウ

台湾出身、2016年より日本在住。輔仁大学応用美術学科卒業。現在は岐阜県在住、多治見市陶磁器意匠研究所(セラミックスラボ)にて研究。暮らしの中で気づいた景色を陶芸を通じて表現し、日本の土や原料に惹かれながら器を制作している。

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@yenyu.craft